Club Silencio

夢と現実の魔境からお届け

【ネタバレ感想】『万引き家族』評

私たちは死の心配によって生を乱し、生の心配によって死を乱す。

 

ゆりを迎え入れた柴田家に夏が訪れる…

 

治と信代のセックス。
亜紀と4番さんとのセックス。
第二次性徴を迎えた祥太の勃起。

 

このように家族の"生"が安定し始めた矢先、

その大黒柱である初枝に"死"がやって来る。

 

つまり、生の心配を止めるということは、死の心配を止めるのに等しいが故に、初枝の死は、家族へと生の心配を促すものに思える。

 

そうした生の心配によって死を乱すのは、紛れもない祥太であった。

 

気付いてしまったのだ。
この万引きをする生活に未来はあるのかと。

 

そうした死の心配によって生を乱すのは、変わらず祥太のみである。

 

気付いてしまったのだ。
万引きを手伝うようになったゆりに未来はあるのかと。

 

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だから祥太は柵を飛び超えた。

心配だから「わざと捕まった」のか。

 

初枝は塀の中に。

亜紀は門を潜る。

治は扉が閉まる。

 

そして、ゆりは柵の上から外を眺める。

なぜ、ふいにビー玉を数えるのを止めたのか…?

 

心配してしまったのか!

気付いてしまったのか!

 

頼む、ゆり。

その柵を飛び越えてくれ!

 

死にはしない。

頭も打たず、軽い骨折で済むはず。

 

だからお兄ちゃんのように、その柵を飛び越えくれ!

その玄関の中に引き戻される前に…

 

ただ実際そうさせるべきではない。

心配させるべきでも、

気付いてしまわせるべきでも、

飛び越えさせるべきでも。

そして、万引きをさせるべきでも。

 

日本の恥だとか、

犯罪を助長させるとか、

そう言う前に、我々にもっと出来ること、伝えることがあるのではないだろうか?

 

そうして子供たちを救うべきだ。

 

つまり、『万引き家族』はそうした心配事に気付かせてくれる映画ではないだろうか?