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【ネタバレ感想】『ちはやふる -結び-』評 かるたという意志、無限未来へ戦い続けるという事

 

「好きや、千早」

 

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新の告白に彼女はこう答える。

 

「”かるた”を強くなる!

 

いち高校生の、(恋愛という)情を(競技かるたという)意志で捉えてしまったのか。

もちろん『ちはやふる 上の句/下の句』に於いて、”かるた”は彼らの青春のサンボリズムであったが、『ちはやふる -結び-』へ至ることで、彼らのエモーションないし、イニシエーションにまで絶対的ものとなった。

 

つまり、千早の「”かるた”を強くなる!」という返答は、一個人の人生を”かるた”に捧げるという宣言と読んでいいのか。その”かるた”という意志の勝利。

 

先述の告白に於いて、割を食うのは太一だろう。「お前(千早)のためにかるたやってた」とまでいう彼が、幼馴染の新に彼女を取られるともなればなおさらだ。

 

「君はいいよね、迷いがあって」

 

周防にそう言われる太一。「お前のためにかるたやってた」というように、太一の”かるた”への意志は、第一に千早への想いがある。つまり、彼は”かるた”好きではない。またかるた部を退部(かるたが青春のサンボリズムであるならば、受験に専念するということは大人になるということの決意)し、予備校で出会った周防も、天才的な”かるた”の才能があるにも関わらず、決して”かるた”好きではない。

 

つまり、必ずしも好きと能力は比例しない。

周防には極度の弱視であったことと同時に、彼には”かるた”しかないということが分かる。好きでもなければ、向いているとも言えない”かるた”しか周防にはないのだ。その強くなりすぎたとまで言う彼が、負けた相手こそ太一である。それは形式的なものではなく、まさに意志として、かるたの天才的な才能にも勝るのは、”かるた”(という青春のサンボリズム)を、太一にしかできない「この一瞬」の”かるた”をすること。

 

perfumeは「無限未来」でこう歌う。 

 

時間を止めて 瞬きも見える

目を凝らす未来 印象 連続 天の上

震える光 瞬く世界が

少しずつ 少しずつ

加速していく Story 

 

監督は同曲について、「同じ花は二度と咲かないように、二度と戻ってくることはない”この瞬間”を表現した音楽」を求め、応える形でperfumeは歌う。「この瞬間」を歌いながらも、題名は「無限未来」であり、つまりは永遠を歌っているように思える。しかも、歌詞にもある通り、この物語は少しずつ、少しずつ加速していくのだ。

 

いやはや、瑞沢高校でやる"かるた"こそ「この瞬間」であり、彼らの"かるた"は名人やクイーンを驚かせ、新を負かしたのだ。

 

つまり、青春を"かるた"として捉え、また"かるた"を青春に還元する。このメタ円環青春こそ、『ちはやふる』の原動力。

 

正直、結ばれてなんかない。結ぶ必要なんて無ければ、結ぶことさえできない。この先にある無限未来へと太一は、千早は、そして新も少しずつ、少しずつと加速して向かっているのだから。 

 

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そう、だから"かるた"しよう!

青春をかけて、人生をかけて、"かるた "をし続けるということ。

 

ちはやふる』は現代の日本版『ロッキー』か!

広瀬すずはスタローンだ!

フィラデルフィア美術館は近江神宮だ!