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【ネタバレ感想】『シェイプ・オブ・ウォーター』評 強力で優しい愛の外在化

人間の体は50~75%は水でできている。

その割合は成長と共に減少して行く。

そのため、水がなければ数日と持たないだろう。

つまり、水が無くなるという事は、人間に取って死に等しいのだ。

 

  • 愛の外在化

愛とは何か?

愛とは感情であるからこそ、姿形は見えない。

 

「The Shape of」と聞いて思い出すのは、デヴィッド・クローネンバーグの『ザ・ブルード/怒りのメタファー』である。ハル・ラグラン博士はサイコプラズミックスという精神療法(深層部の怒りを肉体上に目に見えるように外在化させる)の手引書として、「The Shape of Rage/怒りの外在化」という題を用いていた。

 

つまり、怒りという姿形の見えない感情を外在化せたのだ。それを踏襲させてもらえば、『シェイプ・オブ・ウォーター』は「The Shape of Water/水の外在化」と読めるだろう。

 

ギレルモ・デル・トロ監督はこう言う。

 

水はどんな場所でも通り抜けるし、どんな形にもなり得る。グラスに入れるとその形になる。瓶の形にも、ボトルの形にも。柔軟で強力だ。それは愛だと思う。愛する対象により形を変える。相手が誰であろうと、人種、肌の色、宗教、性別に関わらず、形を変える。全てに適応する。水は強力で優しい物質だ。それは愛の形という認識だ。 

 

水とは愛のようである。

であるならば、「The Shape of Water」は愛の外在化でもあるのか!

 

愛のメタファー!

先述のように言うなら、愛(水)が無いということは人間に取って死に等しい。

 

イライザも、ゼルダも、ジャイルズも、博士も、そしてストリックランドも、この冷戦下という時代に愛を失っている。

つまり、彼らは死んでいるのだ。

 

彼らは愛の外在化である不思議な生き物(半魚人) を救おうとすることで、愛を手に入れる。だから10日には、干ばつした世界に雨が降る。(因みに、冒頭では火事が起きていた)イライザは雨が降るということも知っていたのだ。

 

メタファーであるからこそ、これはおとぎ話だ。 

 

あなたの形は見えなくても、私の周りにあなたを感じる。

あなたの存在が私の目を愛で満たす。

それは私を謙虚にする。

あなたはどこにでもいるから。 

 

という愛の詩をジャイルズは引用する。

まさに愛を語っている。愛は水のように形がない。形がないからこそ、どんな形にもなれる。ギレルモ・デル・トロの異形の愛が、いつでも従来の形にははまらないように。(たとえ形は見えなくても!)あなたの存在が目を愛で満たす?愛は見えないはずなのに、見る目を愛で満たしてしまう。 なんと強力で優しいのか。

 

あるかも分からないおとぎ話である『シェイプ・オブ・ウォーター

 

たとえおとぎ話で、形がないにしても、この映画の存在が、この映画を観る者の目を愛で満たすのだ!

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