Club Silencio

夢と現実の魔境からお届け

【ネタバレ感想】『悪女/AKUJO』評 ロリータと殺しと愛情を込めた斬撃弾

なぜスクヒを「悪女」と呼ぶのか?

しかも、英題に至っては『The villainess』というヴィランの女性名詞で呼ばれている。

 

f:id:atsuki485711:20180213203030j:plain

 

  • ロリータと殺し

”犯罪組織の殺し屋として育てられた”とは良いように言ったもので、彼女は幼い頃に父親を殺され、ジュンサンに育てられた。いや、父親を殺したのがジュンサンなのだからある種の誘拐に近い。そう、彼はロリコンなのだ!

 

スクヒとジュンサンの別れを考えてみれば、結婚と妊娠のタイミングであった。それはひとりの少女が(通過儀礼的に!)大人へと変わる瞬間であるからこそ、彼に取ってのコンプレックス外となる瞬間でもあった。

 

ジュンサンは酷いもので、自らの死を装う事で、少女では無くなったスクヒを(半ば強制的に)国家組織と売り払う。つまり、大人になって少女が死んだから、彼女そのものを殺そうとした。奇しくもスクヒは国家組織のもとで別人となる。因みに、整形前後とで女優が変わるが、前者は童顔で、後者は大人びた顔というのも面白い。

 

  • 愛情たっぷりの斬撃弾を

あながちジュンサンは間違っていないのかも知れない。

彼は愛を手に入れる為に殺し、愛を手放す為にまた殺す。

 

スクヒは繰り返すように、結婚式当日にまた”殺し”に見舞われる。彼女は幸せになれない。いや、(通過儀礼的な!)成長さえもできない。愛する人を愛し、守りたいと思えば思うほどに奪われていく。そして、彼女は気付く。

 

”愛するよりも、殺してしまえ!それが何よりの愛情なのだから”

 

それは彼女がジュンサンにそう育てられてきたからこそ出来る事だ。スクヒは愛するからこそ、愛情をたっぷりと込めた斬撃弾を、またそれで”殺し”を行うのだ!泣き震える彼女にジュンサンは「怯えなくていい」と言う。そう、もう泣かなくていい。高らかに笑え。

 

そして必然と、”殺し”という”愛”を覚えたスクヒはThe villainess/悪女となるのだ。